戸籍の種類を徹底解説!謄本・抄本・除籍の違いとは?
日本の戸籍制度は、個人の出生、婚姻、死亡などの身分関係を公式に記録する重要な仕組みです。これらの情報は、さまざまな手続きや証明の際に必要となるため、正確に理解しておくことが求められます。特に、戸籍謄本、戸籍抄本、除籍謄本など、複数の種類が存在し、それぞれの違いを把握しておくことは重要です。本記事では、これらの戸籍証明書の種類とその違いについて詳しく解説し、適切な場面での利用方法を紹介します。
戸籍とは?
戸籍とは、日本国民の身分関係(出生・死亡、親子・夫婦関係など)を公式に記録し、役所が証明する公的な書類および制度です。
戸籍には、以下の情報が主に記載されています。
- 本籍:戸籍の所在地を示す住所。
- 戸籍の筆頭者の氏名:戸籍の代表者として最初に記載される人の名前。
- 戸籍に入っている人全員の氏名:家族全員の名前。
- 生年月日:各人の出生年月日。
- 父母の氏名と続柄:親の名前と、その関係性。
- 出生事項:出生に関する詳細情報。
- 婚姻事項:結婚に関する情報。
これらの情報は、個人の法的な身分や家族関係を証明するため、さまざまな行政手続きや法律上の手続きで必要とされます。また、戸籍は一組の夫婦とその子どもを単位として編成され、子どもが結婚すると新たな戸籍が作成されます。
戸籍謄本と戸籍抄本の違い
戸籍謄本と戸籍抄本は、いずれも戸籍の情報を写し取った公的な証明書ですが、記載内容に違いがあります。
戸籍謄本(こせきとうほん):戸籍に記載されている全員の情報を完全に写したものです。家族全体の関係性や構成を確認する際に使用されます。例えば、相続手続きや婚姻届の提出時など、家族全体の情報が必要な場合に求められることが多いです。
戸籍抄本(こせきしょうほん):戸籍の中から特定の個人、通常は申請者本人の情報のみを抜粋したものです。個人の身分事項を証明する際に使用されます。例えば、パスポートの申請や資格取得時など、個人の情報が必要な場合に利用されます。
要するに、戸籍謄本は家族全員の情報を含むのに対し、戸籍抄本は個人の情報のみを含むという違いがあります。申請や手続きの目的に応じて、どちらを取得すべきかを選ぶことが重要です。
除籍謄本とは?
除籍謄本(じょせきとうほん)とは、戸籍に記載されていた全員が婚姻、死亡、転籍などの理由でその戸籍から抜け、誰もいなくなった状態の戸籍の写しを指します。これは、戸籍原本の内容をそのまま謄写したものであり、戸籍簿から除かれたものが「除籍簿」として保存され、その謄本が除籍謄本となります。
除籍謄本が必要となる場面としては、主に相続手続きが挙げられます。被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍を遡って取得する際、過去の除籍謄本が必要となることがあります。これにより、相続人の確定や家族関係の確認が行われます。また、相続登記や遺産分割協議の際にも、除籍謄本の提出が求められることがあります。
除籍謄本の取得方法は、以下の通りです。
- 申請場所:原則として本籍地のある市区町村役場で申請します。郵送での請求も可能な場合があります。
- 必要書類:
- 申請書:各役場指定の申請書に必要事項を記入します。
- 本人確認書類:運転免許証やマイナンバーカードなどの身分証明書が必要です。
- 続柄を証明する書類:申請者が直系尊属・卑属でない場合、関係性を証明する書類が求められることがあります。
- 手数料:1通につき750円程度の手数料がかかります。自治体によって異なる場合があるため、事前に確認が必要です。
注意点として、除籍謄本は保存期間が定められており、除籍後150年間保存されます。しかし、保存期間を過ぎると廃棄される可能性があるため、必要な場合は早めに取得することをおすすめします。
除籍謄本は、相続手続きや家族関係の確認において重要な役割を果たします。必要に応じて適切に取得し、手続きを円滑に進めるための準備を整えましょう。
改製原戸籍とは?
改製原戸籍(かいせいげんこせき)とは、法改正や戸籍制度の変更に伴い、新たな形式に改製される前の旧戸籍のことを指します。日本の戸籍制度は、時代の変遷や法改正により複数回の改製が行われてきました。直近では1994年(平成6年)に戸籍のコンピュータ化が実施され、これ以前の戸籍が改製原戸籍として扱われています。
なお、「げんこせき」と言うと「現戸籍」と誤解されることがあるため、誤解を防ぐため「はらこせき」と呼称されることがあります。
改製原戸籍の特徴:
- 記載内容の詳細さ:改製原戸籍には、現在の戸籍には記載されていない過去の家族構成や身分事項が詳細に記録されています。これにより、家族の歴史や相続関係を遡って確認することが可能です。
- 手書き形式:多くの改製原戸籍は手書きで作成されており、旧字体や変体仮名が使用されているため、現代の私たちが読み解くのは難解な場合があります。
相続手続きにおける重要性:
相続手続きでは、被相続人(故人)の出生から死亡までの戸籍を遡って取得し、法定相続人を確定する必要があります。この際、改製原戸籍を取得することで、過去の婚姻歴や認知、養子縁組などの情報を確認し、正確な相続人の特定が可能となります。
取得方法:
- 申請場所:原則として被相続人の本籍地の市区町村役場で申請します。郵送での請求も可能な場合があります。
- 必要書類:
- 申請書:各役場指定の申請書に必要事項を記入します。
- 本人確認書類:運転免許証やマイナンバーカードなどの身分証明書が必要です。
- 手数料:1通につき750円程度の手数料がかかります。自治体によって異なる場合があるため、事前に確認が必要です。
注意点:
- 保存期間:改製原戸籍は、除籍後150年間保存されますが、保存期間を過ぎると廃棄される可能性があります。必要な場合は早めに取得することをおすすめします。
- 読み解きの難しさ:手書きで旧字体が使用されているため、内容の解読が難しい場合があります。必要に応じて専門家の助言を求めると良いでしょう。
改製原戸籍は、相続手続きや家族の歴史を紐解く上で重要な資料となります。必要に応じて適切に取得し、手続きを円滑に進めるための準備を整えましょう。
戸籍類の取得に関する改正
2024年(令和6年)3月1日から施行された戸籍法の改正により、戸籍証明書の取得方法が大幅に便利になりました。これまでは本籍地の市区町村役場でしか取得できなかった戸籍謄本や除籍謄本などの証明書が、改正後は以下のように取得可能となります。
1. 広域交付制度の導入
本籍地以外の市区町村役場でも、戸籍証明書を取得できるようになりました。これにより、遠方の本籍地に出向く必要がなくなり、居住地や勤務先の近くで手続きが完了します。
2. 取得可能な証明書の種類
広域交付制度で取得できるのは、以下の証明書です。
- 戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)
- 除籍全部事項証明書(除籍謄本)
- 改製原戸籍謄本
ただし、戸籍抄本や戸籍の附票、独身証明書、身分証明書などは対象外となります。
3. 請求可能な範囲
以下の方々が広域交付制度を利用して戸籍証明書を請求できます。
- 本人
- 配偶者
- 直系尊属(父母、祖父母など)
- 直系卑属(子、孫など)
兄弟姉妹の戸籍は請求できません。
4. 手続き方法と注意点
- 窓口での申請: 請求者本人が市区町村の戸籍担当窓口に直接出向く必要があります。郵送や代理人による請求はできません。
- 本人確認書類: 運転免許証やマイナンバーカードなど、顔写真付きの公的証明書の提示が必要です。
- 交付までの時間: 相続手続きなどで複数の戸籍を取得する場合、発行に時間がかかることがあります。事前に窓口へ問い合わせることをおすすめします。
- システム未対応の戸籍: 一部、コンピュータ化されていない戸籍や除籍は広域交付の対象外となる場合があります。
この改正により、戸籍証明書の取得がより柔軟で便利になりました。
参照:戸籍等の広域交付
太子町 https://www.town.hyogo-taishi.lg.jp/soshikikarasagasu/choumin/kosekijyuuminninnkan/koseki/6102.html
姫路市 https://www.city.himeji.lg.jp/kurashi/0000026840.html
たつの市 https://www.city.tatsuno.lg.jp/shimin/20240301koseki.html
まとめ
日本の戸籍制度には、主に以下の種類の証明書があります。
- 戸籍謄本(全部事項証明書): 戸籍に記載された全員の情報を含む証明書です。
- 戸籍抄本(個人事項証明書): 戸籍の中から特定の個人の情報のみを抜粋した証明書です。
- 除籍謄本: 婚姻や死亡などで全員が除籍された戸籍の写しです。
- 改製原戸籍: 戸籍の様式変更前の旧形式の戸籍の写しです。
これらの証明書は、相続手続きや各種申請時に必要となる場合があります。
取得方法は、本籍地の市区町村役場での申請や郵送申請、マイナンバーカードを利用したコンビニ交付などがあります。
各証明書の特徴と取得方法を正しく理解し、必要な場面で適切に活用することが重要です。