遺産相続をスムーズに!不動産生前贈与のメリットと注意点

 

不動産の生前贈与

生前贈与とは、ご自身の財産を生前に無償で譲渡することをいいます。

不動産生前贈与は、遺産相続を円滑に進めるための有効な手段の一つです。しかし、そのメリットを最大限に活用するためには、生前贈与についてを正しく理解し、適切な準備と計画が必要となります。

不動産を生前贈与した場合は、登記名義人を変更することなります。
不動産の贈与登記(名義変更)のご相談なら司法書士にお任せください。

不動産の生前贈与については、下記のようなメリット・デメリットがあります。

生前贈与ではなく遺言によって財産を承継させる方が良いケースもあります。

 

当事務所では、揖保郡太子町・姫路市・たつの市など兵庫県南西部を中心として、不動産の生前贈与に関する登記(名義変更)を取り扱っております。

不動産の贈与登記のご相談については、お電話またはメールフォームにてご予約ください。

 

不動産の生前贈与のメリット

不動産の生前贈与には次のようなメリットがあります。

  1. 相続争いの防止
  2. 節税効果(相続税対策)
  3. 資産管理の簡素化

相続争いの防止

不動産生前贈与の重要なメリットは、相続争いの防止にあります。遺産相続が発生した際、特に価値の高い不動産が関係すると、相続人間での意見の相違や利害の衝突が起こりやすくなります。これらの争いは家族関係を悪化させるだけでなく、時には長期にわたる法的な紛争に発展することもあります。

生前贈与を活用することで、相続人に対して事前に財産の分配を行うことが可能となり、遺産相続時に残された財産が少なくなるため、相続に関するトラブルの発生リスクを大幅に減少させることができます。また、生前贈与は、贈与者が自らの意思で財産の分配を決定し、その意向を相続人に明確に伝える機会となります。これにより、相続人は贈与者の意志を理解し、相続が発生した後もその意志に基づいた行動を取りやすくなります。

さらに、生前に贈与を行うことで、贈与者は相続人とのコミュニケーションを取りながら、財産分配に関する調整や合意形成を進めることができます。この過程で、相続人間での話し合いが促され、お互いの理解が深まることも、相続争いを防ぐ上で重要な役割を果たします。

不動産生前贈与は、相続時の争いを未然に防ぎ、家族関係を守るための有効な手段です。相続計画の一環として生前贈与を検討する際は、相続人全員との公平性を保ちつつ、各人のニーズに合わせた配慮を行うことが重要です。専門家のアドバイスを受けながら、適切な生前贈与計画を立てることで、相続時の平和と家族の絆を守ることに繋がります。

節税効果(相続税対策)

不動産を生前贈与し所有権を移転することにより、将来発生する相続税の負担を軽減できる場合があります。具体的には、贈与税の基礎控除額は現在、年間110万円と定められており、この範囲内であれば贈与税がかかりません。この控除を活用して不動産を贈与することで、相続時の税負担を分散し、軽減することが可能です。

不動産の生前贈与は、資産を効率的に管理し、相続税の負担を軽減する上で非常に有効な手段です。しかし、節税を最大限に実現するためには、贈与のタイミングや方法を慎重に計画する必要があります。

資産管理の簡素化

不動産生前贈与によるもうひとつの顕著なメリットは、資産管理の簡素化です。多くの資産を持つことは、それ自体で複雑な管理や維持の課題を伴います。不動産特有の問題、例えば税金の支払い、メンテナンスの必要性、またはテナントとの関係管理など、これらはすべて時間と労力を要します。

資産管理の簡素化は、贈与者自身の生活をよりシンプルにし、老後の生活資金の確保やライフスタイルの改善にも繋がります。特に高齢になると、大きな不動産の管理は難しくなり、生活にも影響を及ぼす可能性があります。生前贈与を通じて資産を適切に分散することで、贈与者は自らの生活をより快適にし、将来の不確実性を減らすことが可能となります。

さらに、生前贈与は相続時の資産分割をよりスムーズに行うための事前準備とての効果もあります。相続が発生した際には、不動産を含む資産の分配には多大な時間と労力が必要とされますが、生前贈与を利用することで、相続人は早い段階から資産の一部を管理し、相続プロセス全体を効率化することができます。

不動産の生前贈与のデメリット(注意点)

他方で次のようなデメリットもあります。

  1. 贈与税の発生
  2. 不動産取得税がかかる
  3. 登録免許税が相続の場合より高い

贈与税の発生

不動産生前贈与を検討する際には、贈与税の発生が重要な注意点の一つです。

日本の税法では、贈与税の基礎控除額が定められており、110万円を超える価値の不動産を贈与すると、超えた分に対して贈与税が課税されることになります。

生前贈与を受ける人に多額の贈与税がかかってしまう恐れがあります。
なお、暦年贈与の基礎控除や相続時精算課税制度の利用により贈与税の控除が可能です。
また、夫婦間の贈与については配偶者控除もあります。
詳しくは税理士・税務署などの専門家にご相談ください。

暦年贈与の基礎控除

年間110万円までの贈与でしたら贈与税はかかりません。年間110万円の範囲内に収まるように不動産の持分の一部の贈与を行うという方法もあります。

 

贈与税の計算・税率(国税庁)

相続時精算課税制度について(国税庁)

 

登録免許税について

不動産の所有権移転登記(名義変更)には登録免許税がかかります。

登録免許税とは、登記申請をする際に法務局に収入印紙などで納める税金です。

相続の場合は、固定資産税評価額の0.4%であるのに対し、贈与の場合は、2%となります。

評価額1,000万円の不動産の場合、相続登記なら4万円ですが、生前贈与だと20万円の登録免許税がかかります。

このように不動産の評価額によって、登録免許税が大きく異なってきます。

 

たつの市・姫路市周辺の税務署

所在地 電話番号 管轄地域
龍野税務署 〒679-4167
たつの市龍野町富永字田井屋畑1005-70
0791-62-0281 宍粟市、たつの市、揖保郡太子町
姫路税務署 〒670-8543
姫路市北条1丁目250番地
079-282-1135 姫路市、神崎郡市川町、福崎町、神河町
相生税務署 〒678-0055
相生市那波本町6番1号
0791-23-0231 相生市、赤穂市、赤穂郡上郡町、佐用郡佐用町

 

農地を生前贈与する場合

農地を農地のままで所有権を移転するには、市町村の農業委員会の許可(農地法3条許可)が必要です。

たとえ親子間の贈与であっても農業委員会の許可は必要です。

なお、生前贈与ではなく相続によって所有権を移転する場合は、農業委員会の許可は不要です(届出は必要です)。

農業委員会

所在地 電話番号
太子町農業委員会 〒671-1592
兵庫県揖保郡太子町鵤280番地1
079-277-5993
(産業経済課)
たつの市農業委員会 〒679-4192
兵庫県たつの市龍野町富永1005-1
0791-64-3185
(農業委員会事務局)
姫路市農業委員会 〒670-8501
姫路市安田4丁目1番地 本庁舎9階
079-221-2822
(農業委員会事務局)

 

農業後継者が農地の贈与を受けた場合の納税猶予

 

農地などを後継者に贈与した場合の贈与税は、納税猶予できる場合があります。

要件などは国税庁のホームページなどでご確認ください。

農業後継者が農地等の贈与を受けた場合の納税猶予の特例(国税庁)