【司法書士が解説】相続登記に必要な「最後の住所を証する書面」とは?取得できない場合の対処法

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相続・不動産登記コラム

【司法書士が解説】相続登記に必要な「最後の住所を証する書面」とは?取得できない場合の対処法

最終更新: 2026年7月26日 執筆: 司法書士 小川卓也

親御さんやご親族が亡くなり、ご自身で実家の「相続登記(不動産の名義変更)」の手続きを進めようとしたとき、法務局のホームページや手引きを見て「最後の住所を証する書面」という言葉に頭を悩ませる方は非常に多くいらっしゃいます。

「亡くなった人の戸籍謄本は役所で集めたのに、それだけじゃダメなの?」「最後の住所って、どうやって証明すればいいの?」と疑問に思うかもしれません。

実は、相続登記の手続きにおいて、この「最後の住所を証する書面(住民票の除票や戸籍の附票など)」は、亡くなった方と不動産の所有者が同一人物であることを証明するための極めて重要な書類です。

古い相続は要注意!書類が「廃棄」されているかも

数十年前に亡くなったお祖父様の登記を放置していたなど「古い相続」の場合、役所の保存期間が過ぎており、この書類が取得できないという大きな壁にぶつかることがあります。

この記事では、なぜ相続登記に「最後の住所を証する書面」が必要なのかという基本的な理由から、代表的な取得書類の違い、そして「もし役所で書類が廃棄されていて取得できない場合、どうすれば登記ができるのか」というイレギュラーな対処法に至るまで、相続・登記の専門家である司法書士が分かりやすく丁寧に解説します。

1. 相続登記になぜ「最後の住所を証する書面」が必要なのか?

相続登記を行うためには、亡くなった方の出生から死亡までのすべての戸籍謄本を集める必要があります。しかし、戸籍謄本だけを法務局へ持って行っても、登記官に「最後の住所を証する書面が足りません」と突き返されてしまいます。

その理由は、法務局が管理している「不動産の登記簿」の仕組みにあります。

法務局は「氏名」と「住所」のセットで人物を特定する

登記簿には、不動産の所有者として「住所」と「氏名」が記録されています。法務局は、登記簿に載っている『兵庫県姫路市〇〇町1番地の 姫路太郎』さんと、今回亡くなった『姫路太郎』さんが、間違いなく同一人物であることを確認しなければなりません。世の中には同姓同名の人がたくさんいるからです。

ここで問題になるのが、戸籍謄本には「本籍」と「氏名」は載っていますが、「住所」は記載されていないということです。 そのため、登記簿の「住所・氏名」と、戸籍の「本籍・氏名」をつなぎ合わせるパズルのピースとして、亡くなった方の「(登記簿上の)住所」と「本籍」の両方が記載されている書面がどうしても必要になるのです。

このパズルのピースの役割を果たすのが、亡くなった方の住所の履歴が分かる「最後の住所を証する書面」です。

2. 代表的な2つの書面(住民票の除票・戸籍の附票)

「最後の住所を証する書面」として法務局に提出する書類には、代表的なものが2つあります。それが「住民票の除票(じゅうみんひょうのじょひょう)」「戸籍の附票(こせきのふひょう)」です。

どちらを取得しても構いませんが、取得先の役所や記載されている内容に違いがあります。状況に合わせて取得しやすい方を選びましょう。

住民票の除票 戸籍の附票
概要 亡くなった方の「住民票」が、死亡によって消除(除外)されたもの。 「戸籍」が作られてから現在に至るまでの、住所の移り変わり(履歴)を記録したもの。
取得する役所 亡くなった方の最後の住所地の市区町村役場 亡くなった方の本籍地の市区町村役場
記載される住所 最後の住所と、その1つ前の住所(前住所)のみが記載される。 その戸籍にいる間の、住所の履歴が複数連続して記載される。
使い分けのポイント 最後の住所と登記簿の住所が一致している場合は、こちらが簡単。
※必ず「本籍地」入りのものを取得してください。
亡くなる前に何度も引っ越しをしており、登記簿の住所が「最後の住所の2つ以上前」にある場合に役立つ。

どちらの書類を取得するにしても、重要なのは「法務局の登記簿に記載されている住所(例えば実家の住所)」から「亡くなった時の最後の住所」までの繋がりが証明できることです。

3. 保存期間経過で「最後の住所を証する書面」が取得できない!?

相続登記の手続きにおいて、最も厄介で多くの人がつまずくのが、この「最後の住所を証する書面が役所で取得できない」というトラブルです。特に、亡くなってから何年も登記を放置していた「古い相続」で頻発します。

過去の保存期間はたったの「5年間」だった

現在、法律の改正により、住民票の除票や戸籍の附票の保存期間は「150年間」と定められています。したがって、最近亡くなった方の手続きであれば問題なく取得できます。

しかし、法改正が施行された令和元年(2019年)6月20日より前は、これらの書類の役所での保存期間はたったの「5年間」でした。

つまり、平成26年(2014年)より前にお祖父様やお父様が亡くなっており、そのまま名義変更をしていない場合、役所で「保存期間が過ぎているため廃棄しました。発行できません」と言われてしまう可能性が極めて高いのです。

法務局へ「役所で廃棄されていたので出せません」と言っても、登記官は「では、本当に登記簿の所有者と同一人物なのか確認できないので、登記は受け付けられません」と却下してしまいます。
では、このような場合、実家は永遠に名義変更できないのでしょうか?ご安心ください。そのようなケースを救済するための代替手続き(別の書類で証明する方法)が用意されています。

4. 【図解】取得できない場合の対処法・代替書類フロー

「最後の住所を証する書面」が廃棄等の理由で取得できない場合、法務局に対して「確かに書類は出せませんが、他の色々な証拠から判断して、間違いなくこの不動産は亡くなった本人のものです」と説得するための材料を集めることになります。

具体的な代替手続きの流れを、以下のフローチャートで確認してみましょう。

「最後の住所を証する書面」が取得できない場合の相続登記フロー

フローチャートにある「代替書類」について、もう少し詳しく解説します。

【優先】不動産の権利証(登記済証)

亡くなった方が昔、その不動産を購入した時などに法務局から発行された「権利証」です。これは本来、本人しか持っていないはずの非常に重要な書類です。
この権利証の原本を法務局へ提示(またはコピーを提出)することで、「本人の手元にあった権利証を相続人が持っているのだから、同一人物に間違いないだろう」と法務局を納得させる強力な証拠となります。最後の住所が証明できない場合、まずはこの権利証を探すことが最もスムーズな解決法です。

【権利証がない場合】不在籍・不在住証明書と上申書

「権利証も紛失してしまって見つからない!」という場合の最終手段です。
まず、登記簿上の住所・氏名を使って役所に「不在籍証明書・不在住証明書」を請求し、「この住所にこの人物は存在しない(別人のものではない)」ことを客観的に証明します。
その上で、相続人全員で「登記簿上の人物は間違いなく被相続人であり、私たち相続人が責任を持ちます」という旨の『上申書』を作成し、相続人全員の実印を押印し、全員の印鑑証明書を添付して法務局に提出します。書類作成や実印の収集など、非常に手間がかかる手続きです。

5. 複雑な相続登記は専門家(司法書士)へお任せください

ご説明してきたように、最近亡くなられた方の相続登記であれば、役所で書類を集めるだけで比較的スムーズに進むかもしれません。しかし、数次相続(何代も前の相続)などで「最後の住所を証する書面が取得できない」といったイレギュラーな事態が発生すると、ご自身で手続きを進める難易度は一気に跳ね上がります。

平日の昼間に何度も役所や法務局へ足を運び、専門用語が並ぶ上申書を自作し、遠方の親戚に実印をもらいに行く……といった作業は、想像以上の精神的・肉体的負担となります。

司法書士なら、複雑な書類収集から登記まで丸ごと代行可能です

相続と不動産登記の専門家である司法書士にご依頼いただければ、職権による戸籍や不在籍証明書等の収集、上申書などの法的な書面の作成、そして法務局への登記申請に至るまで、すべてを代理で行うことができます。
古い相続案件や、権利証を紛失してしまった難易度の高い案件も、当事務所が法務局と的確に協議し、確実な名義変更へと導きます。

相続登記でお困りなら、一人で悩まずご相談を

「自分で書類を集めようとしたが限界だ」「法務局に書類が足りないと言われてしまった」とお困りの方は、ぜひお気軽に当事務所へご相談ください。
当事務所は揖保郡太子町にあり、姫路市・たつの市周辺の相続登記手続きに数多く携わっております。お客様の状況に合わせた的確なアドバイスと、明確な費用のお見積りをご提示いたします。

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