実家をどう分ける?遺産分割の4つの方法
【司法書士解説】実家をどう分ける?
遺産分割の4つの方法
親が亡くなり、残された遺産を兄弟でどう分けるか。預貯金だけであれば「100万円ずつ」と簡単に分けられますが、一番の悩みの種になるのが「ご実家などの不動産」の分け方です。
- 「長男の自分が姫路の実家に住み続けたいが、弟に払う現金がない」
- 「誰も住まないから売ってお金で分けたいけれど、名義はどうすれば?」
- 「面倒だから、とりあえず兄弟3人の共有名義にしておこうか…」
実は、不動産を含む遺産の分け方には、法律上「4つの方法」が用意されています。ご家族の状況によって、どの方法を選ぶべきかは全く異なりますし、選び方を間違えると後々大きなトラブルの火種になることもあります。
今回は、姫路・たつの・太子町など播磨地域のご家庭を数多くサポートしてきた地元の司法書士が、4つの遺産分割方法のメリット・デメリットと、「やってはいけない分け方」について、専門用語をできるだけ使わずに分かりやすく解説いたします。
遺産分割の「4つの方法」とは?
遺言書がない場合、相続人全員の話し合い(遺産分割協議)によって財産の分け方を決めます。その際、以下の4つの方法からご家族に合ったものを選ぶことになります。
方法 1 現物分割(げんぶつぶんかつ)
「形を変えずに、そのままの形で分ける」という、最もシンプルで原則的な方法です。
例えば、「長男は姫路市の実家(不動産)を相続し、次男は〇〇銀行の預金500万円を相続する」といった分け方です。
実家以外にも、同等の価値がある預貯金などの財産が十分に残されているご家族。
メリット
手続きが非常にシンプルで分かりやすく、不動産を売却する手間もかかりません。そのまま住み続けたい方がいる場合に適しています。
デメリット
「実家の価値は2,000万円で、預金は200万円しかない」といった場合、公平に分けることができず、不満が出やすくなります。
方法 2 代償分割(だいしょうぶんかつ)
特定の人が不動産などの価値の高い財産を相続する代わりに、「他の人へ、自分のポケットマネー(代償金)を支払って精算する」方法です。
例えば、2,000万円の実家を長男が1人で相続し、長男の自己資金から次男へ1,000万円を支払うという分け方です。
実家に住み続けたい(または事業を継ぎたい)人がいるが、遺産の中に預貯金が少なく、現物分割では不公平になってしまうご家族。
メリット
不動産を売却せずに残しつつ、相続人間で1円単位まで公平に財産を分けることができます。
デメリット
不動産を相続する人に、「代償金を支払うだけの十分な自己資金(現金)」がなければこの方法は使えません。
方法 3 換価分割(かんかぶんかつ)
不動産などの財産を「すべて売却して現金に換え、その現金をみんなで分ける」方法です。
例えば、誰も住まない実家を1,500万円で売却し、諸経費を引いた残りの現金を兄弟3人で均等に分けるといった形です。
相続人の誰も実家に住む予定がなく、また、代償金を払えるほどの自己資金を持っている人がいないご家族。
メリット
すべて現金になるため、1円単位で最も公平に分けることができます。空き家として放置するリスクもなくなります。
デメリット
思い出の実家を手放すことになります。また、不動産の売却活動に時間と手間がかかり、仲介手数料や税金(譲渡所得税など)のコストが発生します。
売却を前提とする場合でも、亡くなった方の名義のままでは家は売れません。代表者1人の名義に変更してから売却するか、全員の共有名義にしてから売却するかは、税金面などを考慮して税理士等の専門家と相談して決めるのが安全です。
方法 4 共有分割(きょうゆうぶんかつ)
1つの不動産を「相続人全員の共有名義(例えば兄弟3人で3分の1ずつ)にする」方法です。話し合いがまとまらない時などに、「とりあえず共有にしておこう」と選びがちですが、将来的に最もトラブルになりやすい危険な方法です。
なぜ共有名義は避けるべきなのか?
- 全員のハンコがないと売れない:将来「家を売りたい」と思っても、共有者全員の同意と実印がなければ売却できません。一人でも認知症になったり反対したりすると、家は一生動かせなくなります。
- 維持費の負担で揉める:固定資産税や家の修繕費、草刈りの費用などを、誰がどう負担するかで必ずと言っていいほど揉めます。
- 子供の世代に負の遺産を残す(権利の細分化):共有者の誰かが亡くなると、その権利はその子供(甥や姪)に引き継がれます。数十年後には「会ったこともない親戚10人の共有名義」になり、事実上解決不可能になってしまいます。
姫路・播磨地域の不動産を分ける際の注意点
当事務所が姫路市やたつの市、太子町周辺でご相談を受ける中で、この地域ならではの不動産事情が遺産分割を難しくするケースが多々あります。
実家と一緒に「農地」や「山林」がある場合
太子町や姫路市の郊外では、実家だけでなく先祖代々の田畑(農地)を一緒に相続するケースがよくあります。農地は「農家しか買えない」など法律の制限(農地法)が厳しいため、簡単に換価分割(売却)できないことがあります。誰が引き継ぐのか、慎重な話し合いが必要です。
「駐車場がない家」の換価分割の難しさ
完全な車社会である播磨地域において、昔の住宅地で「敷地内に駐車場がない(あるいは道が狭くて車が入らない)」という実家は、いざ売却してお金で分けよう(換価分割)と思っても、なかなか買い手がつかないという現実があります。
実家の遺産分割・名義変更は、地元の司法書士にお任せください
「どの分け方が自分たちの家族に合っているのか」「書類はどうやって作ればいいのか」。お悩みの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。
当事務所は揖保郡太子町に拠点を構え、姫路市・たつの市を含むこの地域で、皆様の相続に関するお悩みに長年寄り添ってまいりました。
- ご家族に最適な分割方法のアドバイス:第三者である法律の専門家が客観的にアドバイスします。
- 遺産分割協議書の作成:決定した内容を、法務局で確実に受理される法的な書面として作成します。
- 面倒な手続きを丸投げ:戸籍集めから、2024年より義務化された不動産の名義変更(相続登記)まですべて代行いたします。
実家をどう分けるか、まずは専門家にご相談を。
ご家族の状況や不動産について丁寧にお伺いし、最適な解決策とお手続きの費用をご提示いたします。


