【相談事例】実家の権利証が見つからない!なくても相続登記はできますか?

ご相談内容

  • お住まい兵庫県姫路市飾磨区
  • ご相談者50代男性(長男)
  • 家族構成亡父・母・長男(ご相談者様)・妹
  • ご相談内容 先日、姫路市飾磨区にある実家で一人暮らしをしていた父が亡くなりました。四十九日も過ぎ、母と妹と話し合って、実家は長男である私が相続することになりました。

    手続きのために実家の遺品整理をしながら書類を探しているのですが、いわゆる「権利証(権利書)」がどこを探しても見当たりません。父が大切に保管していたはずなのですが……。
    権利証がないと、不動産の名義変更(相続登記)はできないのでしょうか?再発行の手続きなどが必要になるのか不安です。

司法書士からの回答・解説:権利証がなくても相続登記は可能です

実家の遺品整理、大変お疲れ様でございます。「大切な権利証が見つからない」と焦ってご相談に来られる方は非常に多いのですが、結論から申し上げますと、権利証(権利書)が見つからなくても、相続登記(名義変更)は問題なく行うことができますので、どうぞご安心ください。

【ポイント】
相続登記の手続きにおいて、亡くなった方の権利証(権利書)を法務局へ提出することは原則として不要です。「再発行」という手続きも存在しません。

なぜ権利証がなくても名義変更できるの?

不動産の「権利証」(※正式には「登記済証」や、近年発行されている「登記識別情報」と呼びます)は、不動産を売買したり、建物を担保にお金を借りたりする場面では必ず必要になります。これは、「私が本当にこの不動産の持ち主です(だから売却します)」と証明するための重要な書類だからです。

しかし、「相続」によって名義を変更する場合、手続きは「亡くなった方から財産を受け継ぐ」という事実に基づいて行われます。亡くなった方自身のご意志(売買の意思など)を確認する手続きではないため、権利証を法務局に提出して本人確認を行う必要がないのです。

その代わり、権利証以上に重要になるのが、亡くなった方と相続人との関係を証明するための「戸籍謄本」などの公的な書類です。

※非常に稀なケースですが、登記簿上の住所と亡くなった方の最後の住所が戸籍等でどうしても繋がらない場合などに、ご本人であることを裏付ける追加資料として権利証の提出をお願いされることはあります。

相続手続き 5つのステップ

権利証が見つからなくても慌てて探し続ける必要はありません。以下のステップで確実に相続登記を進めていくことができます。

  1. 戸籍謄本等の収集 亡くなったお父様の「出生から死亡までのすべての戸籍謄本」と、相続人全員の戸籍謄本などを集めます。これが権利証の代わりとも言える、最も重要な証明書類になります。
  2. 遺産分割協議書の作成 お母様、ご相談者様、妹様の3人で「誰がどの財産を引き継ぐか」を話し合った結果を正式な文章にまとめます。今回は「長男が実家を相続する」という内容になります。
  3. 実印の押印と印鑑証明書の用意 作成した遺産分割協議書に、相続人全員が実印を押し、それぞれの印鑑証明書を市区町村役場で取得して用意します。
  4. 法務局への申請 集めた戸籍や協議書などをまとめて、実家のある地域を管轄する法務局(姫路市の場合は神戸地方法務局 姫路支局)へ相続登記の申請を行います。
  5. 新しい権利証(登記識別情報)の受け取り 登記が完了すると、新しく名義人となったご相談者様のお名前で「新しい権利証(登記識別情報通知)」が発行されます。今後はこれをご自身で大切に保管してください。

まとめ:権利証探しよりも、戸籍集めから始めましょう

権利証は見つからなくても名義変更は可能ですし、紛失した場合の再発行という制度もありません。したがって、見つからない権利証を探し続けるために、貴重な時間を費やす必要はありません。

それよりも、古い戸籍を役所で遡って集めたり、不備のない遺産分割協議書を作成したりする作業の方が、はるかに時間と手間がかかるのが実情です。

当事務所では、姫路市・揖保郡太子町・たつの市にお住まいの方を中心に、複雑な戸籍収集から遺産分割協議書の作成、法務局への登記申請までを丸ごとサポートしております。「何から手をつければいいか分からない」「平日は仕事で役所に行けない」という方は、ぜひ一度、当事務所へお気軽にご相談ください。