【相談事例】相続手続きの途中で長男が急死しました。遺産分割協議や書類集めは最初からやり直しですか?

ご相談内容

  • お住まい兵庫県たつの市揖保川町
  • 状 況 数ヶ月前に父が亡くなり、母、次男(ご相談者様)、長男の3人で、実家の名義変更や預金解約のための遺産分割協議(話し合い)を始めようとしていました。
    父の出生から死亡までの戸籍謄本なども、苦労して市役所で集め終わったところでした。

    ところが先日、長男が急な病気で亡くなってしまいました。長男には妻と子どもが2人います。
  • ご質問 このような場合、実家の名義変更をするための遺産分割協議は誰と行えばよいのでしょうか?
    また、せっかく集めた父の戸籍謄本などの書類は期限切れになってしまい、すべて最初から取り直しになるのでしょうか?

司法書士からの回答・解説

お父様に続いてお兄様まで亡くなられ、ご心痛の極みと存じます。心よりお悔やみ申し上げます。相続手続きの途中でこのような事態になり、今後の進め方に大きなご不安を抱えていらっしゃることでしょう。

今回のように、ある方の相続手続きが終わらないうちに、相続人となるはずだった方が亡くなってしまうケースを、法律用語で「数次相続(すうじそうぞく)」と呼びます。

結論から申し上げますと、すでに集め終わったお父様の戸籍などはそのまま使えますが、遺産分割協議の「参加者(当事者)」は変わります。

1. 遺産分割の話し合いは「長男の奥様とお子様」も交えて行います

お父様の遺産(実家など)について話し合う権利(相続分)は、亡くなったお兄様から、そのご家族である「お兄様の奥様」と「お兄様のお子様2人」に引き継がれます。

したがって、お父様の実家をどう分けるかについての遺産分割協議は、当初予定していたお母様と次男様に、長男のご家族を加えた合計5名全員で行う必要があります。

【新しい遺産分割協議の参加者】
母・次男(ご相談者様)・長男の妻・長男の子ども(2人)の計5名

※誰か一人でも欠けた状態で行った遺産分割協議は無効になってしまいますのでご注意ください。

2. 書類集めは「やり直し」ではなく「追加」になります

ご苦労されて集めたお父様の戸籍謄本などが無駄になることはありませんので、どうかご安心ください。

法務局での不動産の名義変更(相続登記)において、戸籍謄本には「発行から○ヶ月以内」といった有効期限はないため、すでに取得したものはそのまま提出可能です。

※ただし、金融機関(銀行等)での預金解約手続きにおいては、各金融機関のルールで「発行から3〜6ヶ月以内の戸籍や印鑑証明書」を求められることがあります。

追加で必要になる主な書類

今回、お兄様が亡くなられたことで、以下の書類が追加で必要になります。

  • 亡くなったお兄様の出生から死亡までのすべての戸籍謄本
  • お兄様の相続人(妻・子ども2人)の現在の戸籍謄本
  • 話し合いに参加する全員(母・次男・長男の妻・長男の子ども2人)の印鑑証明書

これらを、すでにお持ちのお父様の戸籍書類とセットにして法務局等へ提出することになります。

数次相続の手続きは専門家へのご相談をおすすめします

数次相続が起こると、当事者が増えるため遺産分割の話し合いがまとまりにくくなったり、集めるべき戸籍の範囲が広がって手続きが非常に複雑になったりします。

また、お兄様のご家族との関係性によっては、直接連絡を取り合って書類の手配や話し合いをお願いすることが、心理的なご負担となるケースも少なくありません。

当事務所では、複雑になった相続関係の整理や、追加で必要になる戸籍の収集、ご親族への事情説明など、面倒な手続きをサポートいたします。今後の進め方についてご不安な方は、まずは当事務所までお気軽にご相談ください。