【相談事例】一度実印を押した遺産分割協議書、後からやり直すことは可能ですか?
ご相談者の状況
- お住まい:たつの市新宮町
- ご家族構成:ご相談者様(50代・長男)、次男、長女の3名
- ご相談内容:父が亡くなり、実家を「次男が相続して売却し、お金を分ける」という内容で遺産分割協議書を作成。全員で実印を押しました。しかし後になって、私が実家に住み続けることになり、私(長男)の名義に変更したいと考えています。一度成立した協議書を白紙に戻して、やり直すことはできるのでしょうか?
司法書士からの回答・解説
結論から申し上げますと、相続人「全員」の合意があれば、遺産分割協議をやり直すこと自体は可能です。
一度実印を押して成立した協議であっても、全員が「やり直そう」と納得していれば、以前の協議を解除し、再度新たな協議を行うことができます。
ただし、安易なやり直しには極めて大きな「税金のリスク」が伴うため注意が必要です。
法律上、最初の遺産分割協議が成立した時点で、各相続人の財産として確定します。そのため、後からやり直して別の相続人の名義にする行為は、「相続」ではなく「相続人同士の財産の譲渡(贈与や売買)」とみなされる可能性が非常に高くなります。その結果、本来の相続税とは別に、多額の「贈与税」や「所得税(譲渡所得税)」「不動産取得税」が課税される恐れがあります。
具体的な解決方法・手続きのステップ
遺産分割協議をやり直す場合、以下の手順で慎重に進める必要があります。
- 税金リスクの確認(最重要):
まずは税理士等の専門家に相談し、「やり直した場合にどのような税金が、いくらかかるのか」を正確に把握します。 - 相続人全員での再合意:
税金のリスクを踏まえた上で、それでもやり直すのかどうかを相続人全員で再度話し合い、全員の同意を得ます。 - 合意解除と新たな遺産分割協議書の作成:
「前の協議を合意によって解除する」旨の書面を作成し、改めて新しい内容の「遺産分割協議書」を作成して、全員で実印を押印します。 - 不動産登記のやり直し(すでに登記済みの場合):
もしすでに最初の協議内容で法務局へ相続登記(名義変更)を済ませている場合は、その登記を抹消・変更する複雑な手続きが必要になります。
まとめ・当事務所へご相談ください
遺産分割協議のやり直しは、手続き自体は可能であっても、想定外の税金が発生するリスクが非常に高いため、自己判断で進めるのは大変危険です。
まだ法務局での相続登記や税金の申告が終わっていない段階であれば、被害を最小限に抑えられる対応策が見つかることもあります。
たつの市や姫路市、太子町周辺で「遺産分割をやり直したい」「ハンコを押した後に事情が変わってしまった」とお悩みの方は、取り返しのつかないことになる前に、お早めに当事務所にご相談ください。状況をお伺いし、最適な解決策をご提案いたします。

