【相談事例】亡くなった姉は生涯独身で、長年同性のパートナーと同居していました。姉名義のマンションは、法定相続人である私たちが相続すべきか、パートナーに譲るべきか悩んでいます。

ご相談内容

お住まい:兵庫県姫路市林田町
状況:
先日、姉が急死しました。姉は生涯独身で子どもはおらず、両親もすでに他界しているため、法定相続人は妹である私と弟の2人です。

姉は、姉名義のマンションで同性のパートナーの方と15年以上同居し、生計を共にしていました。パートナーの方は長年姉を支えてくれた大切な存在であり、私たちも良好な関係を築いています。そのため、マンションから追い出すようなことはしたくありません。

姉は遺言書を残していませんでした。この場合、マンションは私たち姉弟で相続するのが正しいのでしょうか?それとも、パートナーの方に名義を譲ることはできるのでしょうか?

司法書士からの回答・解説

お姉様のご逝去、心よりお悔やみ申し上げます。大切な方を亡くされた悲しみの中、パートナーの方の生活やこれからのことを気遣われるお気持ちは、大変素晴らしいご配慮だと思います。

まず、法的な原則についてご説明いたします。
大変心苦しいのですが、現行の日本の法律(民法)では、どれほど長く同居し、実質的な夫婦と同じように生活していたとしても、同性パートナーの方は「法定相続人」として認められません。
また、お姉様が「パートナーに全財産を譲る」という遺言書を残していなかったため、パートナーの方が直接マンションを相続する権利はない状態です。

【注意点】直接「パートナー名義」への変更(相続登記)はできません

遺産分割協議は、あくまで「法定相続人(今回であればご相談者様と弟様)」の間でのみ行うものです。そのため、「遺産分割協議の中で、マンションをパートナーの所有にする」ということは法律上できません。
まずは、法定相続人であるご相談者様たちへ名義変更(相続登記)を行う必要があります。

パートナーの方への配慮としての「解決策」

パートナーの方に今後も安心して暮らしていただくためには、法定相続人が一度マンションを相続した上で、以下のような方法をとることが考えられます。

  • 解決策1:マンションをパートナーに「贈与」または「売却」する
    ご相談者様名義に変更した後、パートナーの方へ所有権を移す方法です。
    ただし、無償で譲る(贈与する)場合、パートナーの方に高額な「贈与税」や「不動産取得税」が課税される可能性が非常に高く、かえってパートナーの方を経済的に追い詰めてしまうリスクがあります。有償で譲る(売買)場合も、適正な価格での取引が必要です。
  • 解決策2:ご相談者様が所有したまま、パートナーに「住み続けさせる(賃貸借・使用貸借)」
    最も現実的で、税金の負担が少ない方法です。マンションの名義はご相談者様(または弟様)にし、パートナーの方との間で契約を結びます。
    家賃をもらって貸す「賃貸借契約」や、固定資産税程度の負担のみ、あるいは完全に無償で貸す「使用貸借契約」を結ぶことで、所有権は移さずに「安心して住み続ける権利」を保障してあげることができます。

どちらを選択するかは、マンションの評価額やパートナーの方の経済状況、また将来的なマンションの維持管理費(修繕積立金など)を誰が負担するかによって大きく変わってきます。

法的な枠組みの中で、お姉様のパートナーへの想いと、ご家族のご厚意を最も良い形で実現するためには、税金面を含めた慎重な手続きが必要です。

当事務所では、関係する皆様がご納得し、安心して生活を送れるような法的サポート(相続登記、各種契約書の作成など)を行っております。
最善の選択肢を見つけるために、ぜひ一度当事務所にご相談ください。