【相談事例】実家を相続した直後に、私自身が老人ホームに入居することになりました。すぐに子どもへ名義変更(贈与)したほうがいいでしょうか?

ご相談内容

お住まい:兵庫県姫路市余部区
状況:
先日夫が亡くなり、夫名義だった自宅(土地と建物)を妻である私が相続しました。無事に私への名義変更(相続登記)は終わったのですが、私自身も足腰が弱くなっており、近々老人ホームに入居することが決まりました。

私が施設に入ると実家は誰も住まない「空き家」になってしまいます。将来の管理や、ゆくゆくは売却することも考えると、今のうちに息子へ名義変更(生前贈与)しておいた方が良いのでしょうか?

司法書士からの回答・解説

ご主人様のご逝去を悼み、またご自身のご入居準備でお忙しい中でのご相談、ありがとうございます。
将来の空き家の管理を見据えて、早めに息子さんへ託そうとお考えになるのは非常に自然なことです。しかし、「すぐに通常の生前贈与で名義変更をする」ことには、慎重な判断が必要です。

【注意点】生前贈与には多額の「税金」がかかる可能性があります

不動産を無償で子どもに譲る場合、「贈与税」という税金が発生します。不動産の評価額によっては、この贈与税が数百万円という非常に高額になるケースが少なくありません。
また、相続の時にはかからなかった「不動産取得税」が課税されるうえに、法務局で名義変更をするための税金(登録免許税)も、相続時の5倍の税率になってしまいます。

このように、良かれと思って早めに贈与をした結果、思わぬ税金の負担で息子さんを困らせてしまう可能性があるのです。

空き家になる実家を守るための「解決策」

ご相談者様が最も心配されているのは、「ご自身が認知症などになり、将来実家の売却や管理の手続きができなくなること」だと思います。それを防ぐための方法として、以下のような選択肢を検討します。

  • 解決策1:「相続時精算課税制度」を利用して贈与する
    60歳以上の親から18歳以上の子や孫へ贈与する場合に選べる税務上の制度です。累計2,500万円まで贈与税が無税となり、早期に息子さんへ名義を変更することが可能です。(※ただし、将来相続が発生した際に、その不動産の価額が相続財産に加算されて相続税が計算されます。また、贈与税は抑えられても、不動産取得税や通常の登録免許税はかかってしまう点には注意が必要です。)
  • 解決策2:親名義のまま、早期に売却する
    もし将来的にご家族が住む予定が全くないのであれば、息子さんに贈与せず、ご相談者様の名義のまま売却手続きを進めるのも一つの方法です。ご自宅の売却であれば、税金が安くなる特例(居住用財産の3000万円特別控除など)が使える可能性があります。

「とりあえず名義変更しておけば安心」というわけではなく、ご自宅の評価額やご家族の状況、将来の計画によって最適な方法は異なります。

当事務所では、ご相談者様のご希望をしっかりとお伺いしたうえで、最も負担が少なく安心できる財産管理や名義変更の方法をご提案いたします。不動産の行く末でお悩みの際は、ぜひ当事務所にご相談ください。
※個別具体的な税金のご相談が必要な場合は、税務署または税理士さんにご相談いただくことになります。