【相談事例】遺言執行者に指定されていた司法書士がすでに亡くなっていました。遺言書は無効になりますか?

ご相談内容

お住まい:兵庫県姫路市大津区
状況:
先日、父が亡くなりました。生前に父が公証役場で作成した「公正証書遺言」が見つかり、そこには実家の土地・建物や預貯金の分け方がしっかりと記されていました。

しかし、遺言書の内容を実現する責任者である「遺言執行者(いごんしっこうしゃ)」として、当時父がお世話になっていた司法書士の先生が指定されていたのですが、調べてみるとその先生は数年前にすでに他界されていることが分かりました。
指定された人が亡くなっている場合、この遺言書自体が無効になってしまうのでしょうか?今後の名義変更などの手続きはどうすればよいですか?

司法書士からの回答・解説

せっかくお父様が遺してくれた遺言書なのに、指定された方が亡くなられていたとなると「この遺言はどうなってしまうのだろう」とご不安になりますよね。

結論から申し上げますと、遺言執行者がすでに亡くなっていたとしても、
遺言書そのものが「無効」になることはありません。お父様の遺志は法的に有効に守られます。

遺言執行者とは、遺言の内容(不動産の名義変更や預貯金の解約・分配など)を、遺言を書いた方に代わって具体的に実行する権限と義務を持つ人のことです。
遺言書が作成されてから実際に相続が発生するまでには、長い年月が経つことも珍しくありません。そのため、今回のように遺言執行者に指定された方(専門家やご友人など)が、遺言者よりも先に亡くなられていたり、ご高齢で病気になり任務を引き受けられなかったりするケースは時折発生します。

法律(民法)ではこのような事態も想定されており、遺言執行者が不在だからといって遺言の効力自体が失われるわけではないと定められています。ご安心ください。

今後の具体的な解決策・手続き

遺言書が有効であることは分かりましたが、手続きを進めるためにはどうすればよいのでしょうか。大きく分けて、以下の2つの方法が考えられます。

1. 家庭裁判所に「遺言執行者選任」を申立てる

相続人などの利害関係人が、家庭裁判所に対して「新しい遺言執行者を選んでください」という申立てを行うことができます。
この手続きにより、別の司法書士などの専門家や、あるいは相続人ご自身を新たな遺言執行者として選任してもらうことが可能です。選任されれば、その新たな遺言執行者が遺言書の内容通りに不動産や預金の手続きをスムーズに進めることができます。

2. 遺言執行者なしで、相続人自身で手続きを進める

遺言書の内容によっては、わざわざ新しい遺言執行者を選任しなくても、相続人だけで名義変更の手続きを行えるケースがあります。
たとえば「長男に不動産を相続させる」といった内容であれば、不動産をもらう長男ご自身で法務局での相続登記が可能な場合があります。(※ただし、子どもの「認知」や相続人の「廃除」など、遺言執行者でなければできない特殊な手続きが含まれている場合は、必ず選任が必要です)。
また、金融機関の預貯金解約においては、銀行側のルールによって「遺言執行者の選任」を強く求められることもあります。

まずは遺言書の内容をしっかりと確認し、「裁判所での選任申立てが必要か」「相続人だけで手続きできるか」を正確に判断することが重要です。

当事務所では、遺言書の法的なチェックから、家庭裁判所への選任申立て書類の作成、その後の法務局での名義変更手続きまで、総合的にサポートいたします。
お父様の大切な遺言をしっかりと形にするため、どうぞお気軽に当事務所にご相談ください。