【相談事例】離婚調停の真っ最中に夫が亡くなりました。まだ籍は入っていたのですが、妻である私に相続権はありますか?

ご相談内容

お住まい:兵庫県姫路市飾磨区

状況:

夫とは長年関係が悪化しており、3年前から別居していました。どうしても話し合いで離婚に合意してくれなかったため、現在、家庭裁判所で離婚調停を行っている最中でした。

ところが先日、夫が突然病気で亡くなってしまいました。
夫には自宅の土地建物(住宅ローンは完済済み)と、いくらかの預貯金があります。夫の兄弟からは「もう実質的に夫婦ではないのだから、お前に財産を渡すつもりはない。相続の手続きには関わるな」と強く言われています。

確かに離婚の手前ではありましたが、まだ離婚届は出しておらず、戸籍上は夫婦のままです。このような場合でも、妻である私には相続する権利はないのでしょうか?

司法書士からの回答・解説

離婚に向けた調停という大変な状況の中でご主人が亡くなられ、さらにご親族とも揉めていらっしゃるとのこと、心身ともに大変なご負担を抱えておられることとお察しいたします。

結論から申し上げますと、ご相談者様には配偶者としての正当な「相続権」があります。

日本の法律(民法)では、亡くなった方の配偶者(夫や妻)は「常に相続人になる」と定められています。ここでいう配偶者とは、「法律上の婚姻関係にある人」、つまり市役所に婚姻届を出して籍が入っている人のことです。

別居期間が何年続いていようと、離婚調停の真っ最中であろうと、あるいは離婚裁判の判決が出る前日であったとしても、正式に離婚が成立し戸籍から除籍される前に亡くなったのであれば、法律上は完全な「妻」として扱われます。
したがって、ご主人の兄弟が「財産は渡さない」と主張したとしても、ご相談者様の法的な相続権が奪われることはありません。

【今回のケースにおける法定相続分(法律で定められた取り分の目安)】
  • 亡くなった方に子どもがおらず、ご両親もすでに亡くなっている場合
    妻(ご相談者様)が4分の3、夫の兄弟姉妹が4分の1
  • ※もし亡くなった方に子どもがいる場合は、妻と子どもだけが相続人となります(兄弟には相続権はありません)。

今後の手続きと注意点

ご相談者様に相続権があることは間違いありませんが、ご主人の財産(不動産や預金)の名義変更を行うためには、相続人全員で「遺産分割協議(誰がどの財産をもらうかの話し合い)」を行い、全員の実印と印鑑証明書を揃える必要があります。

今回のように、他のご親族が感情的になっており「関わるな」と言っている状況では、当事者同士で直接話し合いをまとめるのは非常に困難です。無理に直接交渉しようとすると、トラブルがさらにこじれてしまう危険性があります。

※なお、万が一ご主人が生前に「全財産を兄弟に相続させる」という遺言書を残していた場合でも、配偶者には「遺留分(いりゅうぶん:最低限保障された権利)」を請求できる可能性があります。

離婚調停中や別居中の相続手続きは、親族間の感情的な対立が絡むため、非常にデリケートで専門的な対応が求められます。

不動産の相続登記(名義変更)や、今後の適切な進め方について、法的な観点からサポートいたします。
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