【相談事例】亡くなった母が親族経営の株式会社の株式(非上場株式)を多数保有していました。不動産と同時に株式の手続きも必要ですか?
お住まい:兵庫県姫路市青山
状況:
先日母が亡くなりました。遺産を整理していたところ、実家の土地・建物のほかに、母の兄弟(私の伯父など)で経営している地元の株式会社の株式を多数持っていたことが分かりました。
証券会社で取引されているような株ではなく、いわゆる「同族会社の株式(非上場株式)」です。相続人は私を含めて子ども2人です。
実家の名義変更(相続登記)については法務局で手続きをすると思うのですが、この非上場株式についても何か名義変更の手続きが必要なのでしょうか?また、不動産の手続きと一緒に進めたほうがよいのでしょうか?
司法書士からの回答・解説
お母様のご逝去、心よりお悔やみ申し上げます。
結論から申し上げますと、非上場株式であっても「相続財産」の一つであることに変わりはありません。そのため、不動産や預貯金と同様に、誰が引き継ぐかを決めて名義変更の手続きを行う必要があります。
親族で経営している会社の株式(非上場株式・譲渡制限株式)は、証券口座を通じた市場での売買がないため、手続きが後回しにされたり、放置されたりしがちです。しかし、名義変更をしないまま放置してしまうと、株主としての権利(議決権の行使や配当金の受け取りなど)を主張できなくなります。
また、会社側にとっても「誰が現在の正しい株主なのか」が把握できず、将来的に重要な経営の決定(株主総会など)を行う際に大きな支障をきたす原因となるため、速やかに手続きを行うことが大切です。
不動産も株式も、相続人全員の話し合い(遺産分割協議)で誰が引き継ぐかを決める点では同じですが、実際に名義を変更するための手続き先が全く異なります。
- 不動産: 管轄の「法務局」へ、相続登記を申請します。
- 非上場株式: 株式を発行している「その会社自体(代表取締役など)」へ、株主名簿の名義書換(めいぎ書き換え)を直接請求します。
具体的な手続きの進め方
提出先が異なるとはいえ、不動産と株式で別々に話し合いをして別々の書類を作るのは手間がかかります。スムーズに手続きを進めるためには、以下のように進めるのが一般的です。
- 一つの「遺産分割協議書」にまとめる
実家などの不動産、銀行の預貯金、そして「株式会社〇〇の株式〇〇株」という内容を、すべて一つの遺産分割協議書に記載して、相続人全員で実印を押印します。 - 会社への通知と名義書換請求
作成した遺産分割協議書などをその会社(今回は伯父様が経営する会社)に提示し、「母の株式は私が相続したので、株主名簿の名前を私に変更してください」と請求します。 - 法務局への登記申請
同じ遺産分割協議書を使って、管轄の法務局へ不動産の相続登記を申請します。
※ご注意事項(売渡請求について)
同族会社の場合、会社のルール(定款)によって、「株主が亡くなった場合、会社が相続人に対して『その株式を会社に売り渡してほしい』と請求できる」という制度を設けていることがよくあります。トラブルを防ぐためにも、遺産分割の話し合いを進める前に、まずは会社の代表者(伯父様)へ相続が発生した旨をお伝えし、今後の扱いについてご相談されることをおすすめします。
非上場株式が含まれる相続手続きは、遺産分割協議書の正確な記載方法や、会社に対する手続きなど、ご自身で行うには専門的で複雑な部分がございます。
「何から手をつければいいか分からない」「間違いのない書類を作りたい」とお悩みの際は、ぜひ当事務所にご相談ください。

