【相談事例】事実婚の夫が急死し、夫名義の家から立ち退きを要求されています。
お住まい:兵庫県姫路市広畑区
状況:
長年、事実婚(内縁関係)として連れ添ってきた夫が先日急死しました。私たちが暮らしていた自宅は夫の名義です。
葬儀が終わった後、これまで全く付き合いのなかった夫の遠い親戚(兄弟の子供など)から連絡があり、「自分たちが法定相続人だから、家を売却するためにすぐに出て行ってほしい」と立ち退きを要求されています。
私には行く当てもなく、このまま住み続けたいのですが、法律上、私は家を追い出されてしまうのでしょうか?
司法書士からの回答・解説
長年連れ添ったパートナーを突然亡くされた悲しみの中、住まいの不安まで抱えることになり、本当にお辛い状況とお察しいたします。
まず、法律上の非常に厳しい現実からお伝えしなければなりません。
現在の日本の法律(民法)では、どれだけ長く夫婦同然の生活をしていても、婚姻届を出していない事実婚(内縁関係)のパートナーには「相続権」が一切認められていません。
したがって、お亡くなりになったご主人の財産(不動産や預貯金)は、原則として法律で定められた相続人(今回はご主人のご兄弟や甥・姪など)が引き継ぐことになります。
相続権がないからといって、「今すぐ荷物をまとめて出て行かなければならない」というわけではありませんので、まずはご安心ください。
過去の裁判例では、内縁の妻が長年住み続けてきた自宅について、相続人からの突然の明け渡し請求を「権利の濫用(けんりのらんよう)」として退け、居住を保護したケースが複数あります。
亡くなったご主人とご相談者様との間には、暗黙のうちに「自分が死んだ後もこの家に住み続けてよい」という約束(使用貸借契約)があったと推測されることなどが理由です。
今後の具体的な解決策・対応方法
今の家に住み続けるため、あるいは納得のいく解決を図るためには、次のような対応が考えられます。
- 遺言書の有無を徹底的に探す
ご主人が生前に「全財産(あるいは自宅)を内縁の妻に遺贈する」という遺言書(特に公正証書遺言)を残していれば、法定相続人よりもその遺言が優先されます。公証役場で遺言が残されていないか検索することができます。 - 相続人との冷静な交渉
前述の通り、裁判になったとしても相手方の立ち退き請求が認められない可能性は十分にあります。その事実を背景に、「家賃を払って賃貸借契約を結ぶ」「適正な価格で家を買い取る」、あるいは「引越し費用や生活資金(立ち退き料)の支払いと引き換えに退去する」など、現実的な着地点を探る交渉を行います。
※注意点:相手方が強硬に立ち退きを求めており、紛争状態(トラブル)に発展している場合の直接的な交渉や裁判の代理は、法律上「弁護士」しか行うことができません。

