【相談事例】会社の工場が建っている土地が、亡き父(社長)の個人名義でした

地域:姫路市飾磨区 相談者:50代(長男・会社後継者)

先日、姫路市飾磨区で製造業の会社を経営していた父が亡くなりました。
私が会社を継ぐことになり、会社の財産や不動産を確認していたところ、会社の工場が建っている土地が、会社名義ではなく「父の個人名義」になっていることが分かりました。

建物(工場)自体は会社の名義なのですが、土地は父のものです。
この場合、この土地は相続の対象になるのでしょうか?また、会社がそのままこの土地を使い続けても問題ないのか、今後どのような手続きをすればよいのか教えてください。

司法書士からの回答・解説

お父様のご逝去を悼み、謹んでお悔やみ申し上げます。会社を引き継がれるとのこと、大変な時期かと存じます。

結論から申し上げますと、たとえ会社の工場が建っていたとしても、名義がお父様個人である以上、その土地はお父様の「相続財産」となります。したがって、ご相談者様を含む相続人全員で遺産分割協議を行い、誰がその土地を相続するかを決める必要があります。

中小企業においては、社長個人の土地に会社の建物を建てているケースは珍しくありません。しかし、そのまま放置しておくと、将来的に以下のような問題が発生する可能性があります。

  • 将来の相続トラブル: 今回の相続で名義変更(相続登記)をしておかないと、次の世代(お孫さんの世代など)で相続人が増え、権利関係が複雑になってしまいます。
  • 会社の事業継続リスク: 万が一、会社経営に関与しない他のご親族が土地を相続した場合、会社に対して「土地の明け渡し」や「法外な地代(家賃)の請求」を求めてくるリスクがあり、会社の経営を揺るがしかねません。
  • 銀行融資への影響: 会社が新たに融資を受ける際、担保となる不動産の権利関係が整理されていないと、審査に不利に働くことがあります。

具体的な解決策・手続きの方向性

会社の安定した経営を続けるためには、会社の後継者であるご相談者様(新社長)が、この土地を相続して名義を変更するのが最も一般的で安心な方法です。

そのための具体的なステップは以下の通りです。

  • 会社と社長間の契約関係の確認: これまで会社がお父様に「地代(土地の賃貸料)」を支払っていたか(賃貸借関係)、それとも無償で貸していたか(使用貸借関係)を確認します。これは土地の評価額や相続税に関わってきます。
  • 遺産分割協議の実施: 相続人全員で話し合い、「工場の土地は後継者である長男が相続する」旨の遺産分割協議書を作成し、全員の実印を押印します。(必要に応じて、他の相続人には預貯金などの別の財産を多めに分けるなどの調整を行います)。
  • 法務局での相続登記: 整った書類を管轄の法務局(今回の場合は神戸地方法務局 姫路支局)へ提出し、土地の名義をご相談者様に変更します。

※なお、相続した後に「個人名義から会社名義へ買い取らせる(売買)」または「会社へ寄付する(贈与)」という選択肢もありますが、これらは法人税や所得税などの税金が複雑に絡んでくるため、税理士を交えた慎重な判断が必要です。

会社経営者の相続は、個人の財産と会社の財産が入り組んでおり、一般的な相続よりも複雑になりがちです。
そのまま放置せず、まずは現状の権利関係を正確に把握することが大切です。

どのような手続きが必要か、事業承継をスムーズに進めるためにはどうすればよいか、当事務所にご相談ください。
複雑なケースでも、必要に応じて税理士等の他士業と連携しながら、ご家族と会社にとって最善の解決策をサポートいたします。