【相談事例】身寄りの全くない方が亡くなった場合、その方の所有していた不動産は最終的にどうなるのでしょうか?

ご相談内容

お住まい:兵庫県相生市那波
状況:
私はずっと独身で子どもはおらず、両親や兄弟もすでに他界しているため、身寄り(法律上の相続人)が誰もいません。

現在、自分名義の持ち家に一人で住んでいますが、もし私が亡くなった場合、この家や土地はどうなってしまうのでしょうか?そのまま放置されてしまうのか、それとも最終的には国のものになってしまうのでしょうか。

司法書士からの回答・解説

将来のご自身の財産の行方について、ご不安に思われるのは当然のことです。近年、ご相談者様のようにいわゆる「おひとりさま」からのご相談は非常に増えております。

結論から申し上げますと、法定相続人が誰もいない(あるいは全員が相続放棄をした)方の財産は、借金などの清算をすべて終えた後、最終的には「国のもの(国庫に帰属)」になります。

ただし、亡くなった瞬間に自動的に国のものになるわけではありません。法律で定められた手続きを経る必要があります。誰も手続きを行わなければ、空き家として放置されてしまうリスクもあります。通常は以下のような流れで清算が進みます。

  • 相続財産清算人の選任 利害関係人(債権者など)や検察官が家庭裁判所に申し立てを行い、財産を管理・清算するための代表者である「相続財産清算人」が選ばれます。
  • 借金の支払い等の清算手続き 清算人は、本当に相続人がいないか官報(国が発行する新聞のようなもの)で公告を出して確認します。また、亡くなった方に未払いの税金や借金があれば、残された財産(不動産を売却したお金など)の中から支払いを済ませます。
  • 特別縁故者(とくべつえんこしゃ)への財産分与 生前に無償で献身的な介護をした方(内縁の配偶者など)がいる場合、家庭裁判所に申し立てることで、残った財産の一部または全部を受け取れる可能性があります。
  • 国庫への帰属 すべての清算を終え、特別縁故者への分与を行ってもなお財産が残った場合、その残余財産が最終的に「国」のものとなります。

【対応策】ご自身の希望を叶えるためには「遺言」が有効です

もし、「自分の財産が最終的に国に渡るのではなく、お世話になった人や、応援している団体に譲りたい」とお考えの場合は、生前に対策をしておくことができます。
その最も確実で有効な方法が「遺言書」の作成です。

遺言書を作成するメリット

法律上、遺言による指定は、法定相続(国への帰属を含む)や特別縁故者への分与よりも「優先」されます。
そのため、遺言書で「自分の財産は〇〇へ遺贈する(譲る)」と明確に記載しておけば、法定相続人が誰もいなくても、以下のようなご希望を法的に実現することが可能です。

  • 生前お世話になった友人や知人に財産を譲る
  • お住まいの自治体(相生市など)に寄付をする
  • 支援したいNPO法人や福祉施設、研究機関などに寄付をする

遺言書で不動産や預貯金の寄付(遺贈)をする場合は、あわせて「遺言執行者(いごんしっこうしゃ)」という、亡くなった後に遺言の内容を具体的に実行する責任者を指定しておくことが非常に重要です。専門家を遺言執行者に指定しておくことで、残された方々に負担をかけることなく、確実に手続きを進めることができます。

「おひとりさま」の終活や相続対策は、お一人おひとりのご希望により最適な方法が異なります。
ご自身の財産をどう残したいか、法的に確実な遺言書(公正証書遺言など)をどのように作成すればよいかについては、相続と遺言の専門家である司法書士にお任せください。
将来の不安を安心に変えるためのお手伝いをいたしますので、ぜひお気軽に当事務所にご相談ください。