【相談事例】すでに離婚した前の妻(夫)との間の子どもにも、遺産を相続する権利はあるのでしょうか?

■ ご相談者の状況

  • お住まい:姫路市網干区
  • 年代・性別:60代 女性
  • ご家族構成:亡くなった夫、相談者(現在の妻)、二人のお子様
  • お悩みの内容:
    先日、夫が亡くなりました。自宅の土地と建物は夫の名義になっています。名義変更(相続登記)の手続きを進めようと思うのですが、実は夫には、私と結婚する前に離婚した元妻との間に子どもが一人います。長年まったく交流がないのですが、この前妻との間の子どもにも、夫の遺産を相続する権利はあるのでしょうか?連絡を取らなければいけないのか不安です。

司法書士からの回答:前の配偶者とのお子様にも相続の権利があります

突然ご主人が亡くなられ、深い悲しみの中で今後の手続きに不安を抱えられていることとお察しいたします。

結論から申し上げますと、すでに離婚している元妻(元夫)との間のお子様であっても、亡くなったご主人にとっては法律上の実の子どもであるため、相続する権利(相続権)があります。

なお、離婚した「元妻(元夫)」ご自身には相続権はありません。しかし、お子様は別です。現在の奥様とのお子様と、前妻とのお子様は、法律上どちらも等しく相続の権利を持っています。

ご自宅の名義変更(相続登記)や預貯金の解約などを行うためには、相続する権利を持つ人全員で「遺産をどのように分けるか」を話し合うこと(遺産分割協議)が必要です。そのため、長年交流がなかったとしても、前妻とのお子様を外して手続きを進めることはできず、必ずご連絡を取っていただく必要があります。

具体的な解決方法・手続きのステップ

まったく交流のない方へ連絡を取るのは、心理的な負担が非常に大きいかと思います。手続きは以下のようなステップで進めていきます。

ステップ1:戸籍を収集し、現在の住所を調べる
まずは、亡くなったご主人の生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍謄本を取り寄せ、相続人が誰であるかを正確に確定させます。前妻とのお子様の本籍地が分かれば、そこから「戸籍の附票」という書類を取得することで、現在の住民票上の住所を知ることができます。
ステップ2:お手紙(通知書)を送って事情を説明する
住所が分かったら、突然訪問したり電話をかけたりするのではなく、お手紙を送るのが一般的です。ご主人が亡くなったこと、相続の手続きに協力してほしいこと、現在の財産の状況などを丁寧にお伝えし、遺産分割の話し合いをお願いします。
ステップ3:遺産分割協議を行い、書類に実印を押してもらう
手紙に対してお返事をいただけたら、どのように遺産を分けるか話し合います。「法定相続分(法律で定められた割合)」の金銭をお渡しして納得していただくケースや、不動産はいらないと辞退されるケースなど様々です。内容がまとまったら「遺産分割協議書」を作成し、ご実印を押していただき、印鑑証明書を頂戴します。
ステップ4:法務局で相続登記(名義変更)を行う
全員の署名と実印が揃った遺産分割協議書や戸籍謄本など、必要な書類をまとめて管轄の法務局へ提出し、ご自宅の名義変更を完了させます。

まとめ:複雑な相続手続きや連絡に不安がある場合は専門家へ

面識のない相続人へ突然連絡を取ることは、言葉選び一つでトラブルに発展してしまう可能性もあり、大変神経を使う作業です。「自分から手紙を出すのは気が重い」「どう文章を書けばいいか分からない」と悩まれる方は非常に多くいらっしゃいます。

司法書士は、戸籍の収集によるご住所の調査から、遺産分割協議書の作成、そして法務局での登記手続きまで、法的な観点からトータルでサポートすることが可能です。直接のやり取りに不安を感じられる場合は、ご自身だけで抱え込まず、ぜひ当事務所にご相談ください。