【相談事例】遺産分割の話し合いが終わっていないのに、他の相続人が勝手に法定相続分で登記してしまいました。

地域:たつの市御津町 相談者:50代 男性

数ヶ月前に父が亡くなり、たつの市御津町にある実家の土地と建物を相続することになりました。相続人は、兄、私、弟の3人です。

誰が実家を継ぐか、あるいは売却してお金を分けるかについて、現在兄弟で話し合い(遺産分割協議)をしている最中でした。ところが先日、法務局で登記簿謄本を取得してみたところ、私の知らない間に、兄・私・弟がそれぞれ「3分の1」ずつの持分(法定相続分)で相続登記が完了していました。

おそらく、実家に住みたい兄が勝手に手続きをしたのだと思います。全員の合意も実印もないのに、こんなことが可能なのでしょうか?また、このままだと私はどうなってしまうのでしょうか?

司法書士からの回答:勝手に登記することは可能ですが、後からやり直せます

ご相談ありがとうございます。話し合いの途中でご自身の知らない間に名義が変更されていれば、大変驚かれたことと思います。

結論から申し上げますと、相続人の一人が、他の相続人の同意を得ずに「法定相続分(法律で定められた割合)」で相続登記をすることは、法律上可能です。

これを法律用語で「保存行為」と呼びます。本来の権利の割合(今回の場合はご兄弟3人で3分の1ずつ)で登記簿に記録するだけであれば、他の相続人に不利益を与えないとみなされるため、代表者が単独で手続きを進めることができてしまうのです。この手続きには、他の相続人の実印や印鑑証明書は不要です。

このまま放置することの注意点

法定相続分で登記されている状態は、不動産を兄弟3人で「共有」している状態です。このまま放置すると、以下のような問題が発生する可能性があります。

  • 不動産全体の売却が難しくなる: 共有不動産を売却するには、共有者全員(兄弟3人)の同意と実印が必要になります。
  • 持分だけを売却されるリスク: お兄様がご自身の「3分の1」の持分だけを、第三者(不動産業者など)に勝手に売却してしまうことは可能です。そうなると、見ず知らずの人と実家を共有することになり、トラブルに発展する恐れがあります。
  • 次の相続で権利関係がさらに複雑になる: ご兄弟のどなたかが亡くなった場合、その子どもなどに権利が細かく引き継がれ、将来的に収拾がつかなくなるリスクがあります。

具体的な解決策:改めて遺産分割協議を行い、登記を修正する

勝手に登記されてしまったからといって、その割合で確定してしまうわけではありません。これからご兄弟でしっかりと話し合い(遺産分割協議)を行い、誰がどの財産を引き継ぐかを決めることができます。

遺産分割協議がまとまり、例えば「実家はすべて兄の名義にする代わりに、弟たちには代償金を支払う」といった合意ができれば、現在の「3人での共有登記」から「お兄様単独の登記」へと変更する手続き(所有権更正登記や所有権移転登記)を行うことが可能です。

ただし、この修正の登記手続きには、ご兄弟全員の合意に基づく「遺産分割協議書」と、全員の「実印・印鑑証明書」が必要になります。

共有名義のまま放置することは、将来の大きなトラブルの種になります。
当事者同士での話し合いが難しい場合や、その後の複雑な登記手続きについては、お一人で悩まず、まずは当事務所にご相談ください。

法的な観点から、ご家族にとって最善の解決策をご提案し、必要な手続きをしっかりとサポートいたします。